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中医学では年齢・季節・体質・体調・疾病などそれぞれに対応した中医薬膳・食養生があります。
その中の年齢・年齢別の食養生を順次、紹介します。
歳を重ねるごとに、身体は変化していくため、生理的特徴も年齢によって違いが出てきます。それぞれの年齢に合わせた薬膳処方が必要となり、それにより健康に過ごすことができると考えます。

中医学による年齢の分け方

中医学では次のように年齢を分けています。
  1.少年児童期(誕生~12歳)
  2.青春期 (12~24歳)
  3.成年期 (24~36歳)
  4.中年期 (36~60歳)
  5.老年期 (60歳~)

“女性7の倍数、男性8の倍数”
『黄帝内経素問』上古天真論篇には、女性は7の倍数、男性は8の倍数で、年齢と体の変化の関係を 説明しています。命あるものはみな、生まれてから加齢するにつれ、身体は生長→成熟→老衰という 変化を経ると考え 、それぞれに応じた食材や中薬を選んで、薬膳処方を立てることが重要になります。

年齢と体・生理の変化と食養生(概略)
女性 男性 食養生
7歳(7×1) 8歳(8×1) 野菜、果物など平性の食材を用いる。禁忌:熱性の食材・脂っこいもの・羊肉、ハム、なまこなど。
腎気が旺盛となり、歯が生え替わ
り、髪が伸びる。
腎気が旺盛となり、歯が生え替わり、髪が伸びる。
  14歳(7×2)  16歳(8×2) 陰陽のバランスをとる。
清法・和法(陽盛に偏っているとき):野菜・果物
温法・補法(陰盛に偏っているとき):肉類など。
腎気が旺盛となり、天癸(性ホルモン)が分泌、任脈・衝脈(月経と関わる経絡)が通利し、発達し月経が始まる。 天癸が分泌し始め、精気が充実。
性交により子どもが作れる。
  21歳(7×3) 24歳(8×3)
腎気がバランスをとり、親知らずが生える。 腎気バランスがよく、筋肉・骨が丈夫になり、親知らずが生える。
  28歳(7×4) 32歳(8×4)
筋肉・骨が強壮になる。 筋肉・骨が強壮になる。
  35歳(7×5) 40歳(8×5) 陰陽を補い、気血を調節する。
顔面に分布している陽明経絡が衰え始め、顔色が悪くなり、シワが寄り、抜け毛が始まる。 腎気が衰え、抜け毛、歯の色が悪くなる。
 42歳(7×6) 48歳(8×6)
太陽経絡・陽明経絡・少陽経絡が衰弱し、顔色がわるくなり、シワ・シミが出て、白髪が現れる。 陽気が頭から衰弱し始め、シワが寄り、顔色が悪くなり、白髪が現れる。
 49歳(7×7) 56歳(8×7) 補脾肺腎のために少食にし、薄味・温かいものを摂る。
穀類・果物・野菜・肉類・魚・卵・豆類など多種類のものを摂る。
任脈・衝脈が虚弱し、性ホルモンの分泌が停止し、閉経する。
体形が崩れ、妊娠も不可能となる。
肝気の衰弱により筋の働きが悪くなる。性ホルモンが無くなるため、精がすくなくなり、腎が衰える。体形も崩れる。
  64歳以降、髪が抜け歯も抜ける。



          1. 少年児童期(誕生~12歳)


少年児童期は生まれてから「成年」になるまで、次第に成長発育する過程にあり、身体の臓腑機能や形体にはいずれもまだ不成熟、不完全な状態にあります。中でも脾・肺・腎の働きは特に不完全であると考えられています。一方、成長発育の速度も速い期でもあります。
子どもは、免疫力機能が弱いため、病邪に侵入されると、発病しやすく変化が速い特徴があります。直ちに適切な治療が行われれば病状の好転・回復は大人より速く、健康に回復しやすいと考えます。
 
1.子どもの生理的な特徴
(1)「純陽之体」
子どもの体は、「純陽(朝の太陽のようにどんどん昇る、の意)の体」といわれます。身長の伸び、脳の発達、臓腑の発育など成長が速く、陰陽バランスは陽に偏っていて、元気いっぱい、いきいきとして活発に動き、汗が多く、病気 の時はすぐに熱が出ます。

(2)「臓腑嬌嫩(ぞうふきょうどん)」「形気未充(けいきみじゅう)」
中医学では、「臓腑嬌嫩」は臓腑がやわらかいという意味で、五臓六腑の発育が未熟であると考えます。「形気未充」は臓腑の組織の形と働きが不十分で弱い状態であると考えます。
その状態には以下があります。
①「腎気未充」・・・腎の働きが弱く腎気が充実していない
「腎気」は全身の気の源であり、体を守り、生長に関係します。成長過程にあるため腎は未成熟で腎気が足りないため、夜尿・おしっこの回数が多いなどの特徴が見られます。
②「肝常有余」・・・肝気が有り余っている
肝の気が常に余っており、肝の働きは常に興奮しやすい状態にあります。そのため、子どもは感情が不安定で、すぐに笑ったり、泣いたり、怒ったりします。
さらに、高熱が出やすい、けいれんしやすいというのも特徴です。
③「脾常不足」・・・脾(消化機能など)の働きが弱い
脾の働きはまだ不十分なため、いつも脾気が足りない状態です。そのため、すぐ食欲が落ちたり嘔吐、消化不良、腹痛、下痢などが見られます。特に甘いものの摂りすぎは、脾に湿が溜まりやすくなり、食欲低下の原因となります。

2.子どものための食養
子どもの特徴「臓腑嬌嫩」「形気未充」を養うよう食養を考え食事を用意します。
<食養ポイント>
(1) 平補脾腎の食材を用いる・・・下表参照:温性、平性を選ぶ。涼性も適宜用いる。
(2) 熱性の食材は加減する・・・・羊肉・ソーセージ・ハンバーグ・揚げものなど、脂っこく、体を熱くするものは控えめに。子どもの好きな食べ物が多い。
(3) 甘味の食材を控える・・・・・湿を溜めやすくするため、お菓子・ジュースなどは摂りすぎない。
(4) 決まった時間に食べ、量も摂りすぎない・・・脾胃の働きを補う消化の良いものを摂る。熱性の食材や冷たいもの、甘いものは控える。

<子どもに用いる食材と中薬>

作用  食   材 中 薬
平補肝腎 穀類・山芋、じゃが芋のいも類・黒豆・くるみ・栗・黒ごま・卵・白身魚・青魚・貝類・えび・豚肉・鶏肉・豚レバー・豚のまめ・牛肉・牛乳・にら・かぼちゃの野菜類・もも・みかんの果物類・蜂蜜(1歳過ぎから) 山薬・桑椹・枸杞子
清熱安定 小麦・大麦・はと麦・そば・豆腐・セロリ・白菜・キャベツ・大根・冬瓜・きゅうり・トマト・なす・すいか・りんご・梨・びわ・マンゴー 特に必要なし

記:清水紀子(研究教室・調布教室)
★参考文献:辰巳 洋『実用中医薬膳学』、呉 一中他原著論文「中医学理論に基づく子供の体質分類と薬膳食材の整理」    



     
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