![]() 外因とは、身体の外から皮膚、毛孔、鼻、口から身体に侵入する邪気(病邪)のことで、外邪ともいい、これらによって引き起こされる疾病を外感病といいます。外因邪気には「六淫邪気」と「疫癘邪気」があります。 自然界の風・寒・暑・湿・燥・火は正常な状況では六気と呼ばれ六種類の異なった気候の変化を指すものです。六気は万物の生長・発育・成熟には欠かせないものであり、身体に対しては無害です。しかし、六気に過剰、不足、時季外れなどの異常が起こったり、身体の正気不足により抵抗力が低下すると、六気は発病原因になります。このような状況下では、六気を「六淫邪気」といい、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪に変化します。 <六淫邪気に関するまとめ>
![]() ![]() ![]() 六気の風は春の主気で、五行の木に属し、五臓の肝と関係があります。しかし、風は季節に関わらず年間を通して現れます。外感疾病は風邪によるものが最も多い。また、風邪は他の邪気と一緒に身体に侵入することが多い邪気です。春分は自然界の陰気と陽気が入れ替わる時期で気候が不安定となり、風邪になることが多くなります。 <風邪に関連する事項>
風邪により引き起こされる疾病の治療には、発汗作用によって体表に侵入する邪気を取り除く方法の「解表法」が用いられます。春から秋にかけては辛味により邪気を発散し、涼性により熱をとる「辛涼解表類」のものを使用します。 風邪はほかの邪気といっしょに侵入することが多く、季節により風熱・風湿・風燥・風寒があり、それぞれに対応した食材や中薬を選択します。
▲TOP ![]() ![]() ![]() 湿は長夏(日本では梅雨)の主気で、五行の土に属し、五臓の脾に関係します。中国の黄河流域・中原地域では、夏と秋をつなぐ時期を長夏といい、雨がよく降り、湿気が最も盛んな季節になります。また、長江流域又は南部や日本では、約1か月前に雨がよく降る梅雨の時期を迎えます。湿気の多い気候や雨に濡れたり、長い間湿ったところにいると、湿邪が身体に侵入する原因となります。湿邪により脾の運化機能が低下し、体内の水の代謝が悪くなり、浮腫みや下痢などの湿の症状を引き起こします。 <湿邪に関連する事項>
湿邪が体表・筋肉に停留する身熱不楊、頭が重くて痛い症状に対する薬膳対策としては、香りと温性の特徴により湿を乾燥させる作用のある「芳香化湿類」の中薬や食材を用います。 また、湿邪が脾胃に停留する胸悶、食欲がない、吐き気、嘔吐、腸満感などの症状を改善するためには、気の巡りをよくし、湿を乾燥させる働きのある「行気燥湿類」の中薬や食材を選択します。湿邪が脾・腎・大腸・膀胱に停留し引き起こされる、浮腫み・下痢・小便不利・排便後の不快感などの症状には「滲湿利尿類」の中薬や食材を使って利尿作用により湿の排泄をします。
▲TOP ![]() ![]() ![]() 暑は夏季の主気で、五行の火に属し、五臟の心に関係します。暑邪による発病は立夏、特に夏至から立秋の間に発生します。暑邪は自然界だけに限られ、体内から生じる「内暑」という呼び方はありません。 <暑邪と関連する事項>
暑邪により引き起こされる暑熱による発熱、顔色が赤、多汗、口渇、多飲などの症状に対する薬膳対策としては熱と暑を取り除く作用のある「清熱解暑類」の中薬や食材を使います。 また、多汗で津液を消耗する場合には陰(精・血・津液)を滋養し、体内の水液を生じさせる「補陰生津類」の作用のある中薬や食材を選択します。不眠や情緒不安には「養心安神類」も加えます。
▲TOP ![]() ![]() ![]() 火熱邪気は暑邪と同じく五行の火に属し、五臓の心に通じますが、一年中発生する可能性があります。
火邪により引き起こされた高熱・多汗・煩躁・不眠・四肢の痙攣・各種の出血・皮膚の化膿症などの症状に対する薬膳対策としては、熱をとり除き、火熱により生じた毒を排除する作用のある「清熱瀉火解暑類」の中薬や食材を使います。 また、多汗や高熱で津液を消耗し、津液不足の場合には体内に陰を滋養し、津液を生じさせる「補陰生津類」の作用のある中薬や食材も選択します。
▲TOP ![]() ![]() ![]() <燥邪と関連する事項>
燥邪により引き起こされた肺の津液の消耗による口鼻の乾燥・咽喉の渇きと疼痛・鼻血・肌荒れ・発赤などの症状に対する薬膳対策には陰液を滋養し、熱を取り除き、津液の消耗による乾燥を改善する作用のある「滋陰清熱潤燥類」の中薬や食材を使用します。 また、咳嗽・痰・胸痛がある場合は肺を滋養し、乾燥を潤し咳を止める作用のある「潤肺止咳類」の中薬や食材も選択します。
▲TOP ![]() ![]() ![]() 寒は冬の主気で、五行の水に属し、五臓の腎と関係があります。冬は寒く空気が冷たく、土や川が凍ってしまうほど寒邪が強く陰盛陽衰の季節です。急に気温が下がると身体に寒邪が侵入しやすくなったり、薄着により寒邪を受けることもあります。また冬以外の季節でも雨にぬれたり、汗をかいた後に冷えると寒邪を受けやすくなります。長期にわたって寒邪が身体に影響を及ぼして陽気を損傷すると内寒病証となります。 <寒邪と関連する事項>
寒邪と風邪が身体に侵入して、悪寒・発熱・頭痛・体痛・無汗などの症状を起こした場合の薬膳対策は、「辛温解表類」の中薬や食材を用い、辛味により邪気を発散させ、温性により寒気を除きます。また、疼痛や痙攣がある場合は、経絡を温め、寒邪を取り除く作用のある「温経散寒類」の中薬や食材を使用します。
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