東京栄養士薬膳研究会アーカイブ [ 会員専用 ] 

2013.03

体調管理に薬膳を



           東京栄養士薬膳研究会 
           代表 海老原 英子

 私たちは、自分の健康状態を血圧や血液検査等で検査値が基準内にあるかどうかで判断しています。これに対して中医学(中医伝統医学)では、「陰陽」「気・血・津液」「五臓六腑」の三要素で健康状態を判断します。

◆三要素の機能◆
 一つめの要素「陰陽」は体内の陰陽のバランスが保たれている状態を健康であると考えます。健康が損なわれると、陽盛や陰虚になり身体が熱っぽくなり、陰盛や陽虚になると身体が冷え、その状態が続くと病気になりやすくなります。 薬膳は食物や生薬の持つ五つの性質「熱性・温性・平性・涼性・寒性」を用い、熱症状の場合は寒涼性の食物・生薬を、冷え症状の場合は温熱性の食物・生薬を使用した料理で陰陽の調和をとることで体調不良を改善します。       
 二つめの要素「気・血・津液」は人体を構成する基本物質で、生命活動を維持するためには欠かせません。気は生命活動の根源をなすエネルギー源であり、臓腑の生理機能を促進、体温維持、免疫力などの働きがあります。血は水穀の精微(栄養成分)から化生した赤い液体で、血脈を巡り栄養と酸素を全身に運び、各臓器を滋養し、精神・意識活動の源になります。津液は、血以外のすべての体液で、体内の滋潤・滋養作用が あります。
 気は陽、血・津液は陰に属し、それぞれ固有の特徴があります。生理的には互いに依存し、制約し、相互扶助する関係にあります。従って、気・血・津液の過不足や停滞が生じると体調不良や疾病につながります。そのため、「補気・補血・生津・理気・化瘀」などの効能を持つ食物・生薬を用いた薬膳料理で気・血・津液の量を調整し、全身にバランスよく循環させることで各臓腑組織に供給され、健康になると考えています。
 三つめの要素「五臓六腑」はバランスよく働いているかとかということです。五臓六腑とは、消化器、呼吸器、泌尿器を含めた内臓全般をいいます。各臓腑は単独で活動するのではなく、それぞれが協調的に機能することによって、気・血・津液を生成し、全身に気・血・津液を循環させ、必要とする五臓六腑に過不足なく供給し、生理機能を強化して、心身ともに丈夫な身体をつくると考えます。

◆未病~薬膳への期待◆
 中医学では病気とはいえないけれど、すでに体調不良がある状態を「未病」といい、未病の段階から食養生することによって、将来、発症するかもしれない病気を未然に防ぐという考え方があります。まさに予防医学であり、第一次予防や自分の健康は自分でつくるという積極的な健康維持のための医療として薬膳は期待することができるでしょう。
 お読みいただいた方々が現代栄養学とは異なる中医薬膳学に関心を持たれ、新しい分野の学問に挑戦していただき、管理栄養士・栄養士としてより幅広い健康栄養指導に活用され成果をあげられるように願っています。