東京栄養士薬膳研究会アーカイブ [ 会員専用 ] 

2016.9.25

第10回健康づくり支援「特別講演会」案内
都民のための健康づくり特別講演会
~薬膳から始まる健やかライフ~


☆開催日:平成28年9月25日(日)

☆講 演:『未病対策~西洋医学と中医学からの
      検討~』
     ①「食からの未病対策」
     ②「未病先防は薬膳から」

☆講 師:①中村 丁次氏 
      神奈川県立保健福祉大学学長 医学博士
      公益社団法人 日本栄養士会名誉会長
     ②邱 紅梅氏  
      北京中医学大学 非常勤講師
      中医師 桑楡堂薬局顧問 

☆参加費:無料

第10回 健康づくり支援「特別講演会」報告
都民のための健康づくり特別講演会 ~薬膳から始まる健やかライフ~

  
 9月25日(日)都民の健康づくり支援を目的とした特別講演会を開催、定員一杯のなかで好評のうちに修了いたしました。定員に達するのが早く、多くの方にお断りしましたこと、申し訳ありませんでした。
 当日の中村 丁次先生と邱 紅梅先生のご講演は、具体的な例を豊富に示され、参加者の共感の笑いも多く、奥深い内容も理解しやすい講義でした。その要旨を掲載いたします。

『未病対策~西洋医学と中医学からの検討~』

            

第10回 東京栄養士薬膳研究会特別講演会 「都民の健康づくり運動」報告

食からの未病対策

             中村 丁次氏
             神奈川県立保健福祉大学学長 医学博士
             公益社団法人 日本栄養士会名誉会長

  健康寿命を延伸するためには過剰栄養(メタボリックシンドローム)とフレイル(低栄養)を予防することが重要である。介護や支援が必要となる原因には過剰栄養による生活習慣病の後遺症、低栄養による衰弱、骨折、転倒、加齢に伴う疾患などがあるが、原因としての割合いに大きな差はない。むしろ高齢になると若年層に比べ低栄養による弊害が増加する。
 
 生活習慣病の予防は原因の除去ではなくリスク(危険因子)の管理である。リスクは、内臓脂肪、高血糖、高脂質、高血圧、喫煙など多様であり、複数のリスクが重なることにより生活習慣病~脳卒中、心疾患を発症する危険性が増す。これらはいづれも食事が関与している。リスクはいわゆるメタボリックシンドロームであり、改善すべき箇所を見つけることが重要である。メタボリックシンドロームは未だ病気とはいえず、摂取エネルギーの適正化など6ケ月ぐらいの指導で、2~3年たてば健康を取り戻すことができる。

高齢者の低栄養

 高齢者については要介護になった原因で最も多いものは高齢による衰弱であり、血清アルブミン値3.5g/dl以下は要介護、認知症等のリスクを高め、BMIをみてみるとやせすぎの方が死亡率が高い。低栄養にはたんぱく質が不足するクワシオルコルとたんぱく質とエネルギーの両方が不足するマラスムスがある。高齢者における低栄養状態(フレイル)はクワシオルコルとマラスムスの混合型である。つまり、エネルギー、たんぱく質が不足し更にたんぱく質の合成能力も低下するため、骨格筋量の低下、アルブミン値の低下がみられる。BMI(体脂肪率)、TSF(上腕三頭筋皮下脂肪厚)、AMC(上腕筋囲長)も低下し、フレイル(①体重減少、②主観的疲労感、③日常生活活動低下、④筋力低下 の3つ以上の該当)の危険がみえてくる。

○健康寿命の延伸にはメタボとフレイルの予防が大事である。
30才代~60才代は生活習慣病リスクの軽減、剰栄養対策が必要(メタボ対策)であり60才代~90才代は介護予防 、低栄養予防対策が必要(やせ・フレイル対策)である。 ○未病とは半健康・半病気・健康と病気の中間(グレーゾーン)である。
 過剰栄養によるメタボリックシンドロームと低栄養によるフレイルは共に未病の状態である。未病とは東洋医学の病理概念であり、自覚症状はあるが検査では異常が見つからない状態を示す。逆に西洋医学においては自覚症状が無く、検査結果が異常値の状態を指す。共通しているのは、未病が病気に向かう前段階であり、この時点での早期介入~栄養・食事の介入が疾病の発病予防、QOLの向上に重要ということである。

○体重管理として年代ごとの目標BMIが2015年より設定されている。
    18~49歳   18.5~24.9
    50~69歳   20.0~24.9
    70歳以上    21.5~24.9
従来の一律18.5~24.9から変わり高齢者は少し太目が良いと考える。

機能性食品については、栄養素は人体のエネルギー発生や生体構成成分になるが欠乏すると特異的な欠乏症が発病したり長期に及べば死に至る。機能性成分は消化吸収を助けるものである。

○保健機能食品として機能性の表示ができるものは下記である。
・特定保健用食品 ・栄養機能食品 ・機能性表示食品

 栄養士として機能性食品を考える時はその食品をどのぐらい食べたらよいか、どんな機能を持っているか、対象とする人が必要か、食事との関係、摂取するにはいつ、どんなタイミングで、どんなものをとるのかを考えることが大事である。

まとめとして、未病対策の食事とは西洋医学での栄養を考えた食事+機能性食品+薬膳が考えられる。

【中村先生の言葉】 “人は祝福されて生まれ 祝福されながら生きて 祝福されて死んでいく”

第10回 東京栄養士薬膳研究会特別講演会 「都民の健康づくり運動」報告

未病先防は薬膳から

               邱 紅梅氏
               北京中医学大学 非常勤講師
               中医師 桑楡堂薬局顧問

 薬膳とは心身を最良の状態に保つためにある。すなわち未病を防ぐことである。薬膳では加齢による未病と環境による未病の二つに大別できる。
 加齢による未病とはそれぞれのライフステージに陥りやすい不調であり、女性の場合は妊娠やその前後の期間も未病の状態と捉え、対策をとることが大切である。

 更年期に於いては、
 寒邪 - 充分消化できずに下痢しやすい
 湿邪 - 脾・胃・腸を傷めやすい
 これらに対応した養生をする事が大事である。

 高齢期に於いては老化をゆるやかにするために「健脾・養胃」を心がけ、補腎(加齢対策)を加えると良い。
 胃腸の悪い人は少しづつ何食にも分けて食べると良い。中国では、朝は好(質の良い食事できるだけ5色のものをとる)、 昼は飽(しっかり食べる)、夜は少といわれている。
 環境による未病とは主に季節の変化による未病である。薬膳の根底には中医学の概念があり、「天人合一」の考えは人体は自然に強く影響されると考える。気候の変化により未病となるため、季節に合わせた養生が大切である。

【薬膳の柱(考える順)】 季節・体調・年代を考慮し摂りいれる
 1. 五性:温・涼・寒・熱性
 2. 五味:酸・苦・甘・辛・鹹
 3. ライフステージ

【未病先方】 早目に対処することが大事である。
  例えば、 更年期は40代より
       高齢期は 男性 8才×7・・・56才
            女性 7才×7・・・49才
       の頃より養生を心がける。