東京栄養士薬膳研究会  [ 会員専用 ] 



節分の翌日に迎える立春2月4日頃は、厳しい寒さから少しずつ日足が伸び、春の兆しが現れ始める頃ですが、今年の冬は温暖化の影響で小寒、大寒の時期に3月の上旬から中旬の気候が続いて草木も早々に芽吹きを始めました。驚いたことに陽だまりにタンポポ の花を見つけました。我が家の庭の梅や沈丁花は2、3週間ほど早く開花 しほのかな香り放っています。春を告げるウグイスの美しい鳴き声が待た れます。

春は足早に春分の日へと歩み始めます。
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉もあるように過ごし易く活動しやすい日が多くなります。桜の開花情報が流れ、入学や転勤など生活環境の変化が多い時期を迎えます。
中医学では人と自然界との間の密接な関係を重視しています。人は自然界の中で生活しており、季節や気候など外部的環境の変化にあわせて自身の生命リズムを調整し、外界の変化に適応させています。また身体を構成する各組織は互いに密接な関係を維持しています。この「天人相応」の視点から春の養生について考えてみます。
春の3カ月は立春から始まって雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨までの6つの節気があります。自然界は「陰消陽長」により、陰気が徐々に弱くなり陽気が次第に強くなります。
自然界のすべてのものが伸びやかに成長する時期で、人体についても同じように肉体的・精神的活動が活発になる時期でもあります。

     

春の臓器は肝。
肝はストレスによって最も影響を受けやすい臓器です。ストレスを上手にコントロールしてメンタルヘルスに努めることが春の養生 のポイントになります。肝は身体全体の気の流れを調整する機能をもってい るのでストレスによって肝の機能が低下すると気の流れが滞り、身体の各所 に影響が現れます。鬱状態、消化器系の不調、疲労感などの症状がみられま す。ゆったりとした気分でストレスを溜めないよう楽しい気分で過ごすよう に心がけましょう。

春の薬膳でよく使う食薬には
⑴辛温解表類の食薬:陽気を発散させ、肝の疏泄機能を促進させます。
 食薬は葱・生姜・大葉・香菜・茗荷・三つ葉・肉桂などがあります。
⑵補気・健脾類の食薬:気を補い身体機能の促進と消化器系の働きを改善させます。
 食薬は米、芋類、茸類、南瓜、牛肉・鶏肉・鰻・鰯・鱈・棗・蜂蜜・朝鮮人参など。
⑶補血滋陰類の食薬:体内に必要な血液や津液(体液)を補充し、肝の生理機能を促進します。
 食薬は緑黄色野菜・レバー・いか・落花生・百合根・銀耳・牛乳・卵・豚肉など。
⑷理気類の食薬:肝の疏泄機能を改善し、気の巡りを良くし、鬱を解消(疏肝解鬱)します。
食薬はそば・らっきょう・えんどう豆・みかん、オレンジ、柚子などの柑橘類・ジャスミン・陳皮・玫瑰花など。
⑸アドバイスとして:
 ①酸味の肝経に入る性質を利用し、肝気の上昇過ぎを抑えます。
  ただし、体質の弱い人や冷えがある人は控えます。
 ②辛味は発散・温裏作用があり、取り過ぎは注意します。
 ③風邪や花粉症の症状には⑴で対応します。
中医学の知識を用いて春を健やかに過ごしましょう。

               
“最近の情報” 
「東洋医学(中医学)ホントのチカラ」NHK放送より
東洋医学の効果が科学的に証明され始め、関心を集めています。冷え症や頭痛、胃腸の不調など冬に起こり易いトラブルを東洋医学の見地からツボ押しなどすぐできる対処法を紹介していました。また、アメリカでは転倒予防に太極拳が取り入れられその効果を紹介していました。高齢化社会を迎えた今、改めて東洋医学を学ぶ意味を痛感しました。

※これまでの代表のご挨拶・コメントは「アーカイブ」に収録されています。

     
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